『うまいっ 荒岩くん』『 いやあいつ食っても最高だね』(荒岩の弁当を食べながら)
「クッキングパパ」は単行本の巻数も優に100巻を超え、200巻という大台も視野に捉え始めているという、何気にとんでもない長寿漫画である。
物語では緩やかに時間が経過する形式となっているのだが、あまりに連載が長期となっているため、主人公荒岩の息子(まこと)も小学生から社会人にまで成長してしまうほどである。
基本的には、会社の同僚たちが荒岩の手料理を食べ、「もっ最高!」する平和なストーリーなのだが、たびたび社内の付き合いが休日にも及んだりと、昭和さながらのウェットな社風が伺える。
その中で、当時リアルタイムで読んでいたとき、子供ながらに「こいつ、図々しいな…」と感じていた「東山常務」という人物がいる。
東山常務概要
主人公の荒岩が勤める「金丸産業」という商社の常務で、金丸産業随一のグルメを誇る。
漫画の中では仕事をしている場面はほぼ描かれず、荒岩の作った弁当を貪っていたり、役員室でゴルフのパターの練習をしているようなシーンばかり。
そもそも何で荒岩の弁当を食べているかというと、荒岩の弁当が美味そうなので、荒岩に頼み込んで弁当を召し上げているからである。
「は?」と思うのでもう少し説明すると、東山常務はグルメを極めたせいか、接待等で高級料理は食べ尽くしている一方で、荒岩の作る「家庭の味」には飢えており、そこで自身が出前で頼んだ有名店の天丼とかを弁当とトレードしてもらっているという事情がある。
それにしても、毎回部下の弁当を交換に来る常務が出てくる漫画なんて、クッキングパパくらいのものだろう。
役員室から出てきた東山常務が、弁当と交換するための天丼を廊下で運んでいる姿が、やたらシュールである。
突撃!荒岩家の昼ご飯
ある休日の昼下がり、荒岩の妻、虹子が身重の状態で一人キッチンで料理に励む。
荒岩たちは釣りに出かけているところ、虹子は妊娠中ということで留守番をしていた。
そこへ、突如東山常務がキッチンの小窓から顔を出す。
「ちょっと近くに来たもんで」と挨拶しているものの、要約すると「昼飯を食べさせてくれ」ということである。
荒岩も不在なのに、何と厚かましいことか。
虹子も突然の来訪に慌てるが、急拵えでそうめんの創作料理を作り、ビールとともに振る舞うことで、常務はご満悦。
漫画の絵柄はマイルドなので中和されているものの、字面に起こすと「ご相伴に預かるため、部下の妻(しかも妊娠中)だけがいる家に押しかける」という行為に及んでいることになる。これが商社の役員のやる事か!
なお、そうめんの創作料理(いそぎんちゃん)は、海苔で巻いたそうめんを油で揚げ、上にイクラなどをトッピングしたもの。
表面はカリッ、中はぬにょっとした歯ごたえで、常務も絶賛。確かに美味そう。
その他活躍(職権乱用など)
上記のドン引き行為のほかにも、何かと理由を付けては食を求めるシーンが何度か見られる。
- 博多のパビリオンで特に必要も無さそうなのに会議に同席し、本格的な東南アジア料理を食べに来る。
- 荒岩と田中が韓国出張に行った後、常務が行く意味は無かったにも関わらず、韓国グルメを求めて無理やり理由を付けて自身も韓国へ飛ぶ。
- 新年最初の役員会の昼食の手配を頼まれた東山常務だったが、手違いで注文が通っていなかったことが判明し、電話越しにお店にガチギレする。
- 得意げに社長を連れて冷やし中華の名店に連れて行くが、店は臨時休業。その後も社長を連れ回すも、冷やし中華は食べれずじまい。
- 鯛の刺身に飽きていたとき、ふらりと入った居酒屋で鯛の刺身が出てきて「鯛はいらんのじゃー」とブチ切れる。
東山常務まとめ
このように、残念ながら今のところ常務らしい有能さや、金丸産業一のグルメを活かした活躍は全く見られない。
というか、出てくる回は大体「最近何食べても美味しくないのー」からの「こんな時は荒岩君の奥さんのご飯じゃ」で、食事にありつこうとする意地汚いシーンである。
幸い2025年時点ではまだ連載中なので、今後何らかの形で会社で活躍することを願うばかりである(腐っても商社の常務なので)。