『おむすび、どうですか?』
このセリフは、栗田さんが山岡に自作のおむすびを勧める際の一言である(しかも、一度山岡から低評価を下された後日のやり取り)。
料理漫画『美味しんぼ』の主人公・山岡士郎のパートナーとして長年物語を支え続けてきた栗田さんは、初期こそ愛らしいセリフを発していたのだが、この人物も山岡や雄山と同様、変貌を遂げていく。
栗田さん概要
本名は「栗田ゆう子」(どうでも良いが、この漫画の女性の名前は「◯◯子」が非常に多い)。
美味しんぼの初回、東西新聞社 文化部の新入社員として颯爽と登場。
入社した年に東西新聞社における創立100周年の記念事業として「究極のメニュー」作りの企画が立案される。
栗田さんはその味覚の鋭さを買われ、山岡と共に究極のメニュー作りに励んでいくこととなる。
山岡に比べると食の知識ははるかに劣っていたものの、味に関する判断は確かであり、要所で独自の観点から山岡のメニュー作りををサポートしていく。
物語の終盤には山岡と結婚し、子宝にも恵まれている。
栗田さんの独特すぎる食レポ
美味しんぼでは饒舌に料理の感想を始めるキャラが多いが、栗田さんも例外ではない。
しかし、どちらかと言うと、以下のように若干独特な擬音で美味しさを表現する傾向がある。
- ベトナム風春巻き:「複雑で深味のある香りのタペストリーの上に、さわやかなハッカの香りがたなびいて!」
- 牡蠣とヒラメのホワイトソース鍋:「ヒラメがシャッキリポンと、舌の上で踊るわ!」
- タコの刺身:「シャッキリシコシコ、気持ちのよい歯ざわり。」
- 餃子:「皮はシャッキリシコシコ⋯⋯かむとおいしいおツユがピュッ⋯⋯」
- カリフラワーのグラタン:「なんだか不潔な雑巾のような匂い・・・」
シャッキリはまだしも、「ポン」て。
かの最高峰B級映画として名高い『コマンドー』の悪役、ベネットの名ゼリフ
『10万ドルポンッとくれたぜ』
にも匹敵するポンである。
雄山も後に「ポン酢の"ポン"とは何のことだ。」とか謎掛けをしていたりと、なぜか美味しんぼはたまに「ポン」にフィーチャーするようである。
まあ、他のキャラも「しゃっきり、ぴろぴろ」「うももも」「ぬおおおーー!」「ダイナマイト――!」とか言ってるので、栗田さんの食レポもそこまで悪目立ちはしていない範囲ではある。
結婚相手に山岡を選択
作中、栗田さんはIT企業の創設者である団社長や、売れっ子カメラマンである近城に好意を抱かれており、結婚まで申し込まれたにも関わらず、最終的にはグータラ社員の山岡を伴侶にしている。
これだけ見ると、まるで栗田さんが聖母のように見えるが、別にそんなことは無い。
何だかんだ山岡は大企業の正社員であり、社主はじめとする経営層や、社外の大物たちとも強固なコネクションを持っている。
その上、義父は銀座に大料亭を構える稀代の美術家。
将来目線で見れば、山岡を選んでも結局は玉の輿に乗っているという構図となる。
雄山信者へと変異
最初こそ山岡の味方であったが?雄山が聖人モードへアップデートする度に雄山に傾倒していく。
そして、新入社員時代の初々しさはどこへやら、顔の輪郭が四角くなり、貫禄が出てくるのである。
最終的には、「海原先生の素晴らしさを理解できない山岡の方がおかしい」という領域にまで達するのだから、さながら雄山教へ入信した信者のようである。
雄山の莫大な遺産が山岡家転がり込むことを思うと、何としても和解させたくなる気持ちも分からなくは無いが。
また、栗田母はこれに輪をかけた徹底ぶりであり、たびたび山岡を糾弾する嫌な絵面が見られる。
栗田さんまとめ
このように、栗田さんはかなり振れ幅の大きいキャラクターであることが分かる。
料理の素人として謎の食レポを繰り出し、たまに毒を吐く位であれば愛嬌があったが、山岡と結婚した後は、もはや見る陰もない。
せめて連載終了までに、何でも良いから食べたときにもう一度シャッキリポンと言って欲しかったが、残念ながらそれも叶わなかった。