気合を入れる男たち

『ラーメンは地球を救う!』

美味しんぼは100巻を超えるので様々なエピソードがあるが、中でも38巻で1巻まるごと収録されている「ラーメン戦争」の回は、個性的な登場人物がひしめく、なかなかインパクトのある回に仕上がっている。

ストーリーの概要

山岡士郎は、荒川夫妻から知り合い(橋田)の経営する流行らないラーメン店の手助けを頼まれる。

山岡は橋田に回りくどくラーメンの味のダメ出しをするため、美味いと評判のラーメンチェーン「流星一番亭」の屋台に橋田たちを連れて行く。

その流星一番亭は確かに味は良いのだが、屋台を構えて近くのラーメン屋から客を奪い、最終的にそのラーメン屋を傘下に入れることで成長するという強引な手口を行っていた。

そんな流星一番亭に目を付けられているラーメン屋「金銀軒」の女性店主に、橋田が一目惚れする。

橋田の熱い要望を受けた山岡たちは、金銀軒を救うべく、流星一番亭に負けないラーメンを作ることとなる。

濃い登場人物たち

美味しんぼは、海原雄山や富井副部長といった危険人物がレギュラーを張っているが、このラーメン戦争は様々な怪人たちが登場する豪華な回となっている。

雉川盛一

大人気のラーメン店「流星一番亭」を展開する企業、『流星組』の組長(組長と言うと物騒だが、要するに社長)。

元はアメリカのハンバーガーチェーンで成功を収めていた人物だが、紆余曲折あって自分の好きなラーメンで事業を立ち上げた。

ラーメン店を傘下に収める手口は強引だが、味で勝負しているので某漫画『S太の寿司』の「笹寿司」に比べれば、遥かに健全な経営である。

漫画『将太の寿司』笹木剛志レビュー

『てめえの一生を・・・・滅茶滅茶にしてやるぜ 関口・・・・!!』 将太の寿司では寿司という平和そうなテーマを扱っているにも関わらず、どうい...

店舗の味をチェックしに来た際は、割り箸を口にくわえてカッコよく割ったり、大股開きの立ち姿勢で試食をする身のこなしを、何だか良く分からないが橋田に「見事です」と評されている。

そして試食したラーメンの麺に異変を感じ、部下に麺の日付を確認させると、明日出すべき麺を1日早く提供していたことが判明する。

すると、大勢の客がいる店内にも関わらず、大声で「●んでしまえーー!」と叱責する。

こういうの見せられると飯が不味くなるので個人的には凄く嫌なのだが、そこは流石やり手の経営者。

客たちに深くお詫びするとともに、その日客が食べたラーメン代を無料にするという大盤振る舞いを行うことで、客たちの信頼を獲得する(もしかしてやらせ?)。

というわけで、大勢の客の前で暴言を吐く雄山的な側面はあるものの、職人気質から来るものであれば全く理解できない訳ではなく、まだギリ許容範囲なキャラではある。

日本ラーメン総合開発研究所の所長

『ラーメンは地球を救う!』

挨拶代わりに上の台詞を大声で唱えたかと思うと、初対面の山岡たちにも唱和するよう強要するという、出だしからエキセントリックな人物。

研究所自体は新メニュー開発、ラーメン情報の配信など結構手広く活動しているようで、かのネット上で有名な「ラーメン三銃士」を召喚したのも彼である。

この男、参院選ではラーメン党でいくつか議席を取れると踏んでいるのだが、政見放送が放送事故にならないか心配である。

ラーメン三銃士

ネット上で、散々コラ画像の素材とされてきた面々である。

颯爽と3名の黒タンクトップが車から降りてきたかと思うと、所長が「ラーメン三銃士を連れてきたよ。」と紹介するのが初登場のシーン。

金銀軒の息子も、思わず「ラーメン三銃士?」と叫んでしまうが、至極真っ当なリアクションである。

そんな皆さんご存じの、感で紹介されても困るのである。

構成員は

  • 麺の専門家(乃士勇造)
  • スープの専門家(出川実)
  • 具の専門家(多木康)

と、無駄に専門分野が細分化されている。

というか、具の専門家とか必要か、これ。

この3名はネット上での印象が強すぎるが、残念ながら物語中では大して勝利に貢献していない。

麺の専門家、乃士は麺のコシやカン水の意義など専門理論を語るところまでは良かったのだが、カン水使用における悩みを吐露するも、山岡から「別に使わなくて良くない?」と簡単に説明されると、長年の問題をあっさり解決されてしまう。

麺の専門家なのに・・・。

そして出川のスープは差別化を狙いすぎて空回りし、結局味の決め手とはならず。

具担当の多木は最初こそ具の重要性を語ったものの、その後の描写も少なく、コラ画像でもオチ担当とネタキャラ扱いされてしまった。

ちなみに、『うどんの腰』という回でもパワー系の三銃士が結成されるが、そちらはお店の用心棒として活躍している。

念のためAIにもラーメン三銃士の活躍度を聞いてみたので、その辛辣な回答を引用して締めくくりたい。

ラーメン三銃士は登場時こそ大見得を切りますが、最後に勝利に貢献したわけではなく、実質「脇役で、説明要員」止まりです。
ご質問の「ラーメン三銃士は活躍したか?」については、知識面では多少理論を展開したものの、物語の勝利には直接関わらず、最後は空気化した存在と覚えておくと分かりやすいです。

うん、確かに分かりやすい。

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